本研究では、まず、コンパァトメントモデルにおける薬理動態の解析を行った。手法の特色として、通常のTime domain(時間tの関数空間)上ではなく、ラプラス空間上で反応定数を決定する所がある。これにより、動脈血採取を回避する場合は、従来Time domain上では、非常に複雑だった式が、ラプラス空間上では、簡潔かつ厳密に表された。 本年度においては、導出した厳密な式による解析手順を確立した。その手順にしたがって、既存の論文上に存在するグラフのデータを用いて、その有効性を確かめた。 次に、コンパァトメントモデルと酵素反応ネットが絡む新しい系においても、上記の手法を適用した。その結果、従来から存在する定常状態を仮定した上でミカエリス・メンテン型に変形して解析する方法では扱えないような非平衡な系における解析が可能となった。この手法は、コンパァトメントモデルには収まらない薬理動態の解析を押し広げるものであった。更に、マウス中のDox動態において、Dox・TetR蛍光イメージング技術に応用した。
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