研究概要 |
近年、肺悪性腫瘍に対する低侵襲な治療法として、経皮的ラジオ波凝固療法の応用が注目されている。肺ラジオ波凝固療法においては、Safety marginを確保する目的で周囲正常肺実質を含めた焼灼を行うため、焼灼範囲には炎症性変化や出血、無気肺が混在する。このため、ラジオ波凝固療法直後に撮影したCTでは実際の腫瘍よりも拡大した高吸収域が出現する。この高吸収域は3ケ月〜1年をかけて緩徐に縮小し、長期間残存することもある。長期経過観察によるサイズ変化で治療効果を判断せざるを得ない場合が多く、治療効果判定の難しさが指摘されている。そこで、糖代謝と腫瘍のviabilityが相関することを応用したFDG-PETが、機能的評価として早期の治療効果判定に有用ではないかと期待されている。しかし、ラジオ波凝固療法には焼灼に伴う炎症性変化を伴うため、FDG-PETでの偽陽性の要因となり問題点も多い。今後、肺腫瘍に対するラジオ波凝固療法が普及していく上で、有効な治療効果判定および早期の局所再発診断法を確立することが不可欠と考え、基礎的研究となる本研究を企画した。今回、経皮的ラジオ波凝固療法を家兎を用いた動物実験により施行した。ラジオ波発生装置はRF2000(RTC社製)、電極針はLeVeen (Boston Scientific)電極針17G(シャフト長15cm,展開径2cm,電極針8本)を使用した。全身麻酔を施行後、X線透視ガイド下に胸膜直下の肺へ電極針を穿刺。焼灼部位の熱凝固を示すroll-offの状態まで通電を行った。治療直後、翌日、3日後、1週間後、2週間後、3週間後に肺を摘出し、肉眼的・組織学的所見を得た。今後は、今年度に確立した実験系を元に、ラジオ波凝固療法後の肺組織の糖代謝に関して検討する予定である。
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