小線源を挿入するための外套針をテンプレート座標に計画どおりに刺入する必要があるが、解剖学的に骨盤底に存在する恥骨弓が刺入の際に障害となることが恥骨弓干渉(PAI)として知られている。実際に、小線源挿入術中に恥骨弓の障害により、計画通りの小線源配置が困難な症例に遭遇することも少なくない。恥骨弓と前立腺の位置関係を事前に評価することは、確実な小線源挿入のうえで重要である。 大口径CTによるCT画像とTRUS画像による融合画像を作成し、恥骨弓干渉を評価する撮像時は、砕石位をとる必要があるが、台を自作して用いた。直腸径をTRUS時と同等の条件とするため、同一口径の擬似プローブを直腸に挿入した。撮像した画像は、小線源放射線治療装置(variSeed^<TM>、ユーロメディテック)で読み込み、同装置に装備されている画像融合機能を用いて、融合画像を作成した。融合画像上で、前立腺と恥骨弓の重なりを評価した。 融合画像を作成した24症例すべてで、前立腺と恥骨弓干渉の有無は簡明に評価可能であった。6症例で恥骨弓干渉陽性、18症例で陰性であった。一方TRUS画像のみでは、11症例で恥骨弓の位置が確認できなかった。恥骨弓干渉の評価が両者で異なったのが、3症例で、合致したのが10症例であった。 前立腺の体積が小さくても恥骨弓干渉が生じることは、以前より知られており、恥骨弓干渉の術前評価は、スムーズな線源留置に肝要である。今後は、治療に用いるテンプレート座標を融合画像上に再現することで、シード線源の挿入予定位置を入力することによって、事前に挿入可能な座標位置を予測することへの応用も可能と考えられた。
|