平成21度は前年度までに得られた研究結果をもとに、より精度の高いMRI評価法の確立、より良好な再生軟骨を得るための至適条件の解明を目指し研究を行った。 dGEMRIC及びT2mappingでは、それぞれ軟骨部分を徒手的に抽出し解析を行っていたが、本年度は詳細な形態評価が可能な3D-SPGR法による画像を参照画像として、半自動的に軟骨部分の抽出を行う解析システムを開発した。これにより、より再現性の高い客観的評価が可能となった。さらにこのシステムではdGEMRIC、T2mapping、及び3D-SPGR MRIの結果を三次元的にカラー表示し、経時的な変化を視覚的、定量的に評価可能である。 本年度はこの解析システムを用いて、生体内に三次元培養軟骨を移植した後、最終的に最も良好な再生軟骨が得られる至適な作成条件の検討を行った。結果は以下のようにまとめられる。1.移植前の三次元培養軟骨は、サイトカインの添加量や添加時期、及び培養期間などを調節することにより、軟骨成熟度の幅広い調節が可能であった。2.移植前の三次元培養軟骨は、成熟がプラトーに達する約7-10日前に生体内に移植すると、最終的に最も良好な再生軟骨が得られた。3.三次元培養軟骨はサンプルにより成熟の速度が異なるが、MRIによる経時的評価を行うことで、最適な移植時期を把握可能であった。4.生体内で最も良好な再生軟骨が得られる三次元培養軟骨は、移植直前の評価で、より高いグリコサミノグリカン濃度と適度なコラーゲン濃度を有する、軟骨厚3mmのサンプルであった。 本年度までに得られた研究成果は、2009年5月に米国で開催された、国際軟骨再生学会、及び2009年9月にカナダで開催された国際関節症学会において発表を行った。今後は研究成果の英語医学雑誌への投稿を行う予定である。
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