前年度の検討では、同一環境下では比較的安定した末梢血流量測定が可能であったが、臨床症例の検討を行うにあたり、同一室温下での測定が困難であったこと、測定部位の着衣の有無により末梢血流の変動が認められたことから、再度、安定した末梢血流測定を可能とするための検証を行った。今年度はコンピュータでの経時的な血流測定の解析と記録が可能となったため、異なる室温・湿度下での健常成人での末梢血流動態の変動を経時的に測定・解析した。末梢血流動態は、非浸襲接触型プローブにて身体部位別(1)手指2)手掌3)手背4)前胸部5)腹部)にレーザー組織血流計(オメガフロー、オメガウェーブ)を用い測定した。これらの測定値の再現性を確認するため、日時を変え複数回の測定を行った。着衣に関係なく容易に測定可能な部位(1)手指2)手掌3)手背)では室温の差による変動が大きく、安定した測定値を得るまでの時間を要した。また4)前胸部5)腹部での測定では脱衣後数分で安定した測定値を得ることが可能であることが確認された。そこで、高エネルギー放射線照射を施行している患者に対し、前胸部皮下での照射野内・外の末梢血流量測定と5-level skin scomg systemを用いた肉眼的皮膚反応を経時的に測定・解析を行った。その結果、急性期の肉眼的皮膚反応と照射野内局所末梢血流量は相関する傾向がみられ、照射中の末梢血流量と照射終了後の血流量の差が大きい傾向がみられた。また照射野外の血流状態は急性皮膚反応とは明らかな相関は得られなかった。遅発性反応に関してのretrospectiveな解析では、臨床的に糖尿病・膠原病を有し、正常組織の末梢血流量が低い症例では、皮膚以外の臓器での反応が強くでている傾向もあり、引き続き経過観察を継続し結果解析を行っていく予定である。
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