交付申請書に記載した通り、Bunched Phase Encoding (BPE)とは本研究代表者よって近年世界で初めて開発された新しいタイプのMRI高速撮像法・高解像度撮り像法である。BPEではMRIの傾斜磁場を高速に切り換え、MRIのデータ空間(k-space)上でデータをジグザグの軌道に沿って収集する。本研究ではどのような波形のgradientが画像上の信号雑音比(SNR)を上昇させるかをsimulated annealing(SA)という数学的手法を用いて調べており、現在もこの研究が続いている。今までの実験では、波形の数が少なくても波形の振幅が大きいのの方が、波形が多く波形の振幅が小さいものよりSNRを上昇させるのに有効である、という傾向がわかっている。ただし、SAでは一回一回の実験でわずかではあるが異なる結果が出ることが多く、厳密な意味においてSNRを最大とする波形のデザインを追求するならば最適化の方法そのものを検証する必要があるであろう。本年度は、この波形のデザイン以外にBPEの新しい画像再構成法の開発にも重点を置き研究を行った。これは、上述した通りBPEでは様々なジグザグ波形のに沿ってデータの収集を行うが、従来の方法ではその波形を実際に測定し、k-space上でのデータの正確な座標を求めるしか画像を再構成することができなかった。しかし軌道の測定を行うには実際には煩雑な操作を伴うためこれがBPEの臨床応用を困難にしていた。今回軌道の測定を行わなくても画像の再構成を可能にする方法の研究開発に取り組み、ほぼ満足すべき成果が得られたと考えられる。この研究論文は、2008年5月にカナダで開催される国際磁気共鳴医学会(ISMRM)にて発表予定である。
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