研究概要 |
本研究Bunched Phase Encoding(BPE)とは、MRIのデータ空間上でデータをジグザグの軌道に沿って収集する新しいタイプのMRI高速撮像法・高解像度撮像法である。BPEでは撮像時間短縮を可能にする一方、しばしば再構成画像は信号雑音比(SNR)の低いものとなる。本年度は昨年度に引き続き画像再構成法を工夫することにより、SNRを上げる方法の開発に焦点をあてた。昨年度の実績報告書にて、通常より収集データを少なくしたspiral imagingにthe focal underdetermined system solver(FOCUSS)というアルゴリズムを応用することによりartifactsが著明に減少することを発見したと述べた。本年度はこのFOCUSSをBPEに適用することを考えた。BPEでは折り重なった画像を展開する際にノイズレベルの増幅を見たが、展開時にFOCUSSを応用することにより目立った折り返しartifactsを残すことなくSNRを上昇させることに成功した。ファントムを使った実験ではSNRは約2倍上昇した。BPEは有望な高速撮像法でありながら今までSNRの低さのために臨床の現場で使用するには困難であった。しかし本研究によりSNRの改善に成功したことはBPEの臨床応用に大きく近づいたと言えよう。この研究成果は2010年5月にスウェーデンで開催される国際磁気共鳴医学会にて発表予定である。この結果を踏まえ,来年度以降はFOCUSSのBPEへの応用の仕方をさらに研究し画質改善に取り組むとともに、BPEやspiral imaging以外のデータの収集方法においても、FOCUSSにより画質を向上させることができないかを探求する予定である。
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