研究概要 |
一側ラット線条体へのエタノール注入モデルと旧来のPBR製剤^<11>C-PK11195 PETによる評価では、傷害側線条体に10%前後の有意な活性型ミクログリア(Mi)集積増加を認め、免疫組織染色で患側線条体に活性型Miの集族を認めた(外山ら)。ところが、傷害側線条体の集積に高いものから低いものにばらつきが認められたことから、線条体の傷害の程度の違いで性質の違う活性型Miの混在、Miの毒性転換との関連が示唆されたた。そこでHl9年度の本研究では、同様のエタノール傷害モデルラットの腹腔内にLPSを投与し、Miの性状変化によってPBRの集積に変化が生じるかどうか検討した。LPS投与群は非投与群と比べPETで有意な集積増加を認めた。さらに、RT-PCRによる遺伝子解析で、LPS投与群の方が多くのラットにサイトカイン(TNFα,IL-1β)の発現を認め、発現を認めなかったラットは集積が低かった。LPS非投与群はサイトカインの発現したラットは少なかった。LPS投与群と非投与群は活性型Miの数に有意差を認めなかった。これらの結果から、PBRの集積は、活性型Miの発現の数よりも毒性転換との関連が高いことが示唆された。 培養下で活性化した外来性株化Miを直接ラットの脳内に注入したモデルでも、健側と比べ、注入側線条体に10〜15%前後の有意な集積増加を認め、PET撮像後の免疫組織染色で注入された活性型株化Miを認めた。PETの集積と顕微鏡下で計測された活性型株化Miの数は有意な正の相関を認めた。
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