研究概要 |
我々はラット脳に対し定位的手術法を用いた線条体障害モデルを作製し、その障害の程度によって脳内ミクログリアが様々な程度に活性化することを種々の末梢性ベンゾジアゼピン受容体(PBR)製剤と小動物PETで検討してきた。 アルツハイマー病をはじめとする様々な神経変性疾患では、脳内で活性化ミクログリアが病変部に集積している。この活性化ミクログリアの一部が神経障害性を発現し病態形成に重要な役割を果たしていることが最近判ってきた。ミクログリアが脳内で休止型から活性型になるとPBRが発現し、PBRの発現とミクログリアの毒性転換に関連性が深いことが示唆されている。ポジトロンCT(PET)を用いて生体内でPBRの発現をモニタリングできれば神経変性疾患の早期診断が可能となる。 PBR製剤と小動物PETによるラット活性型ミクログリア生体内画像化実験の結果、健側と比べ、障害側線条体に10〜15%前後の有意な集積増加が認められた。 このPBR集積増加と活性化ミクログリアの関係を基礎的に検討するために、免疫組織染色を用いた活性化ミクログリア集積の証明(同時に炎症性マクロファージの除外)、更にRT-PCRを用いた種々の炎症性サイトカイン(TNFα, IL-Iβ)発現(遺伝子レベルでの毒性転換のマーカー)との関係について検討を行う事でPET集積増加の意義の組織学的・遺伝子解析学的証明を行った。
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