研究概要 |
昨年度は症例の蓄積を行い,マルトリンパ腫初発例の末梢血を放射線治療前後で採取し,表面マーカー解析を行い, CD20 ・ CXCR3陽性細胞割合を確認しているところである.残った検体は本研究費にて購入したディープフリーザーで凍結保存している.また,生検標本の免疫染色が必要となるため,予備実験を適宜行った.胃に発生したマルトリンパ腫症例では除菌前後でのCD20・CXCR3陽性細胞をみる予定としていたが,放射線治療に紹介になる時点で,既に除菌療法が行われていたり,除菌不応例などが紹介されたりと統一性が困難と判断した.このため,発生部位を問わずに放射線治療前後での末梢血液中CD20・CXCR3陽性の推移を診ることが若干の変更点である.昨年度はその時間のほとんどを症例の蓄積に費やしたが,5例程度とマルトリンパ腫で放射線治療を行った症例が少なかった.放射線治療が如何に安全かを示すことができれば,多くのマルトリンパ腫症例が放射線治療に紹介されると判断し,頻度の多い胃悪性リンパ腫における放射線治療の合併症頻度を検討する研究を行った. 2008年4月に横浜で開催された第62回日本医学放射線学会総会に於いて「胃悪性リンパ腫放射線治療後の胃晩期副作用について:アンケート調査報告」の演題名で口演発表を行い,胃リンパ腫に対する放射線治療関連の副作用が637例中わずかに5例(0.78%)で,副作用を生じた症例も全例保存的加療で改善しており,非常に稀で安全な治療であることを報告した.
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