研究概要 |
マルトリンパ腫は低悪性度のリンパ腫であるが、実際には晩期再燃する症例があり、報告によたては10%近いとするものもあるため、活動性を表す指標(マーカー)が必要と考えている。病理学的にマルトリンパ腫と診断された無治療症例に対し, 末梢血液を採取, 表面マーカーの解析を行った。その末梢血液中CD20・CXCR3陽性細胞の存在割合を調査し, 検体を凍結保存している。昨年度までは症例があまりおらず、研究自体の遂行を危ぶんだ状態もあったが、本年度は比較的順調に症例の蓄積を得ることができたと考えている。実際には、放射線治療前後での末梢血CD20・CXCR3陽性細胞の存在割合をみている状況であるが、その際、胃に対する放射線治療後にGAVE様の特殊な粘膜障害が出現する症例があることが判明した。こうした副作用はこれまで報告がないため、昨年行った全国アンケートを基にまとめて、9月にスウェーデン、ヨーテボリで行われたヨーロッパ放射線腫瘍学会(ESTRO : Europian society for therapeutic ratiology and oncology)において学会報告を行った。その結果、胃悪性リンパ腫に対する放射線治療での晩期副作用は0.67%(5/637例)程度であり、非常に安全な治療方法のひとつであることが判明すると共に、非常にまれながらも処置を有するGAVE様粘膜炎の存在を世界に知らしめることができたと考えている。
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