研究概要 |
悪性リンパ腫の中で、MALTリンパ腫はindolentな性質を有するとされている。しかし、晩期にかけて再燃する症例があり、その活動性を示す指標として末梢血液中のCXCR3/CD20陽性細胞の推移を治療前後でみていくことで、腫瘍マーカーの一助となることを想定し、症例蓄積を行ってきた。しかし、症例の発生が少なく予定症例数に不足する危険性が危惧されたため、当初の症例蓄積を行うと同時に以下の研究を併せて行った。(1)MALTリンパ腫の長期追跡に関する全国調査を行った。胃初発症例で、我々が先に行った前向き臨床試験189例を長期追跡調査を行い、74例のMALTリンパ腫症例中5年で13.3%、10年で28.2%の主に遠隔再燃が存在することを発見し、第69回日本医学放射線学会総会で報告し、高い関心を得るとともに、CXCR3/CD20陽性細胞の関与を示唆することが出来た。また、予定症例に満たない危険性に備え、MALTリンパ腫に対するマーカーの一助となる可能性があるのとして、腫瘍内解糖系の亢進状態を併せてみる方針とした。具体的には久留米大学PETセンターで2004年から2008年の期間に初回検査をうけた未治療症例中、当院で生検診断および治療まで施行された173例を抽出し、実際の生検部位のFDG最大集積部位などを計測し直した。結果として、MALTリンパ腫は5.4程度の値に対し、濾胞性リンパ腫は8.4,瀰漫性細胞性B細胞性リンパ腫は14.8など細胞学的悪性度に比例して解糖系が更新していることを発見した。解糖系が更新する機序としてグルコース、ナトリウムトランスポーターの存在があるが、関連性が疑われているGLUT1、GLUT3、GLUT4およびヘキソキナーゼなどの関与がある可能性を考え、現在免疫染色を施行するために標本を作製している状況である。福岡で行われた第一回および第二回リンフォーマPET診断カンファレンスで報告している。
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