呼吸同期照射時、線量分布の検証に使用したGAFCHromic Film type EBTの物理特性を調べた。本filmは照射直後の経過時間に伴い、濃度値が大きく変化することが明らかとなった。Filmをスキャンする際の注意点として、スキャン方向を0度、90度と変化させた場合、濃度値が大きく変化することが明らかとなった。その結果、film検証時は、放射線の照射後、一定時間を置き、スキャン角度を固定することとした。 3次元動体ファントムは各々独立した稼動軸を持ち、動作上の問題点として次のことが明らかとなった。各軸の動作は直線運動であるが、動作の再現性が悪く必ず同じ軌跡を通らないことが分かった。そのため、ファントムの改良が必要と判断した。改善点として、モーションステージの稼動範囲に制限を設けるため、レールを作成する予定とした。呼吸同期照射を行なうにあたり、ヒトの呼吸パターンは様々であることが分かった。現在使用する呼吸コーチングアプリケーションは音声指導が吸気、呼気のみであった。今後、アプリケーションを改良し、呼吸休止時間を設けるようにする。音声指導を行なうことによって、呼吸の1周期時間のバラツキは、自然呼吸と比較して、小さくなることが分かった。しかしながら、呼吸振幅(波高値)にバラツキが生じた。呼吸振幅を一定にするためには、視覚的指導を行なう必要があると判断した。今後、ビデオ入力信号を利用した視覚的指導(どの程度吸気すればいいか、ヒトに対して、任意の目標値を設定する)アプリケーションの追加開発を行なう。
|