研究概要 |
成熟樹状細胞(DC)から産生されるIL-23の抗腫瘍免疫における機能的役割、とりわけ、IL-23で活性化されるTh1およびTh17が抗腫瘍免疫応答に及ぼす影響について明らかにすることに焦点を絞り、研究をおこなった。本研究課題では、IL-23を高産生するOK-432およびPGE_2成で成熟させたDCと、IL-23遺伝子導入DCを作製し、この2つのIL-23産生DCの臨床試験に向けた基礎的研究を進めているが、19年度は、IL-23で活性化されるTh17の抗腫瘍免疫応答における役割について検討した結果を報告し(JImmunol,178,7571-7580,2007)、その癌免疫における有用性についても検討をおこなった(論文投稿準備中)。 また、IL-23を高産生するOK-432およびPGE_2成で成熟させたDCが未感作CD4^+T細胞のTh17分化を誘導することを確認した(論文投稿準備中)。 一方、ヒトIL-23遺伝子発現アデノウィルスベクターの作製に関しては、その有用性を確認するために、まずはマウスのアデノウィルスベクターを作成した。IL-23(p19-IRES-p40)を導入したシャトル・プラスミド(構築シャトル・プラスミド)をHEK293細胞に感染させ、アデノウイルスのパッケージング組換えアデノウイルスの増幅し、塩化セシウムによる精製およびウイルス力価の測定(PFU、ウイルス粒子数)を行った。作製したマウスIL-23遺伝子発現アデノウィルスベクターをマウス骨髄液より誘導した未成熟DCに2,000×g、2時間(37℃)の遠心法により感染させて、IL-23遺伝子導入DCを作製した。コントロールには空のプラスミドを用いて討を行い、作製したマウスIL-23遺伝子発現アデノウィルスベクターを感染させたDCにおいて、高値のIL-23産生が認められた。
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