研究概要 |
14人の健常者の血液から多核白血球を単離。多核白血球の機能として、セプラフィルムの有無によるE.coli、S.aureusと共培養後の(1)貪食能、(2)apoptosis、necrosis、(3)サイトカイン産生、好中球エラスターゼの放出、TNF-α、LPS刺激による炎症モデル、感染モデルでの(4)サイトカイン産生、(5)同様に溶解したセプラフィルムでのサイトカイン産生への影響を検討。(1)貪食能に有意差はなかった(E.coli: P=0.36, S.aureus: P=0.78)。(2)apoptosis、necrosisに有意差はなく(E.coli: apoptosis P=0.78, necrosis P>0.99, S.aureus: apoptosis P=0.46, necrosis P=0.62)、(3)サイトカイン産生、好中球エラスターゼ放出に有意差はなかった(E.coli: IL-1α no measurable levels, IL-6 P=0.53, IL-8 P=0.31, IL-1Ra P=0.96, PMN-EP>0.99, S.aureus: IL-1α no measurable levels, IL-6 no measurable level, IL-8 P=0.31, IL-1Ra P=0.53,PMN-EP=0.73)。(4)炎症モデル、感染モデルにおいてサイトカイン産生に有意差はなかった(炎症モデル:IL-1α no measurable levels, IL-6 P=0.59, IL-8 P=0.24, IL-1Ra P=0.19,感染モデル: IL-1α no measurable levels, IL-6 P=0.35, IL-8 P=0.76, IL-1Ra P=0.24)。(5)溶解した状態でもサイトカイン産生に有意差はなかった(炎症モデル: IL-6 P=0.77, IL-8 P=0.77, IL-1Ra P=0.77,感染モデル:IL-6 P=0.38,IL-8 P>0.99, IL-1Ra P=0.14)。以上の結果からセプラフィルムはヒト多核白血球の機能に影響を与えず、腹腔内感染性合併症を引き起こす原因とならないことが示唆された。これにより腹腔内感染合併例においてもセプラフィルムの使用が可能となり腸閉塞の減少や再開腹時の臓器損傷のリスク減少、手術時間の短縮に寄与することが期待される。
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