研究概要 |
今年度,本研究において複数の時計遺伝子に関して,サーカディアンが存在するのかどうか調査研究を行った。まず,大腸癌細胞株に対し50%serum shockをおこなうことにより,mRNA.における発現変化をReal time RT-PCRで調べることにより,Per1,Cry1,などの時計遺伝子がサーカディアンリズムを持っていることを明らかにした。また,時計遺伝子をけい時的に観察することを明確に確認することを目的として,時計遺伝子であるBmal1,Clock,Per1,Cry1をクローニングし,蛍光顕微鏡にて観察する際発光させるためGFPタグ付を付けた細胞株を作製することに成功した。 さらに,Per1の時計遺伝子のプロモーターをクローニングした。実用的観点より臨床応用に可能性が見いだす事ができないかという観点より,大腸癌における化学療法との関連についても調査研究をおこなった。VEGF(血管新生),Topoisomerase Iのserum shock後の遺伝子発現変化を調べ,サーカディアンリズムを持つ事を明らかにした。以上の結果より,サーカディアンリズムを形成する生物学的現象を遺伝子レベルで証明することが行われれば様々な研究の発展が期待される。たとえば,抗癌剤の標的分子がサーカディアンリズムを有していれば,標的分子の変動に対応した抗癌剤の投与により治療効果の向上が期待される。
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