(1)癌組織バンクの構築: 慶應義塾大学病院外科(北島政樹教授)等の協力のもとに食道癌、胃癌、小・大腸癌、乳癌など合計約200検体の癌組織バンクを構築した。3分割した組織は、RNA、タンパク質、DNA抽出用とした。 (2)BAC-Array7700/BAC-Array15000によるゲノム不安定性の検定: 癌組織と正常組織からのDNAをCy3/Cy5で蛍光標識後、自作のBACマイクロアレイ(BAC-Array7700)を用いてDNAセグメントの増減を検出した(食道癌36例、胃癌10例、大腸癌48例、乳癌24例)。次に、それら増減のあったDNAセグメント(個別のBACクローン)に含まれる遺伝子(群)を専用データベースから探索、同定した。 (3)バイオインフォーマティツクスによる遺伝子構造/機能の推定: 同定した遺伝子(群)のゲノム構造、産生されるタンパク質のモチーフやドメイン、機能などをバイオインフォーマティツクスの手法を用いて解析中である。 (4)遺伝子発現およびクロマチンDNAメチレーション: がん組織における遺伝子発現は市販オリゴマイクロアレイを用いて解析している。 (5)癌マーカーとしての有効性の検定実験: 大腸がんの解析においてこれまでに報告されているゲノム増減頻度とほぼ同じデータを示したが、新たなゲノム増減領域も確認した。これら特定ゲノム領域の増減パターンを元にサンプル群を15に分類した。また、これらの分類と個々の実験データを臨床所見による各種分類と照合し、ゲノム不安定解析を行っている。
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