抗CD3 x抗EGFR二重特異性抗体(Ex3 diabody)を作成し、CD3陽性である活性化リンパ球(T-LAK細胞)およびPBMCをエフェクター細胞とし、EGFR陽性胆管癌細胞株TFK-1を中心に種々のEGFR陽性および陰性癌細胞株を標的としてin vitroおよびin vivoでの治療効果を検討した。 エフェクター細胞と共にEx3 diabodyをEGFR陽性細胞と共培養することでEGFR発現特異的に強力な抗腫瘍効果が認められた。同様にSCIDマウスを用いたin vivo治療実験モデルにおいても、強力な腫瘍増殖抑制効果が認められた。In vitroと同様にEx3 diabody単独では腫瘍増殖抑制効果は認められなかったが、抗EGFR抗体の親抗体(528 IgG)を単独で用いた場合には腫瘍の増殖抑制が確認された。市販のcetuximabでも同等の腫瘍増殖が認められている。これはEGFRの阻害というよりも、IgGの存在によりSCIDマウス内のNK細胞によるADCCが誘導されたものと考えられた。以上より、IgGを付加した新たなタイプのEx3二重特異性抗体の作成に取りかかることとした。
|