研究概要 |
平成18年度に実施した研究結果から, Radius Surgical System(Radius)は基礎実験(動物臓器モデルによる実験)レベルでは, 消化管の縫合に安全に導入できることが立証された. この結果をもとに, 平成19年度に実施された研究内容は、臨床における腹腔鏡下胃切除において, Radiusを用いておこなわれた消化管吻合の導入と評価である. 臨床で既に行われている, 腹腔鏡下の胃切除術において, その消化管の縫合, 吻合の多くは既存の自動縫合器(ステープラー)を用いた食道と残胃の吻合, 食道と空腸, または残胃と空腸の吻合が行われる. しかしながら, このステープラーを挿入した挿入口は何らかの手段により縫合閉鎖しなければならない. この作業に, Radiusを導入して縫合閉鎖を行った. 当該年度中に行われた臨床導入例は総計11例であった. 結果 1. 臨床導入例の内訳は, 食道-残胃吻合 : 2例, 食道-空腸吻合 : 5例, 残胃-空腸吻合, : 4例であった. 2. いずれの吻合においても, 有意な出血は認められなかった. 3. いずれの吻合においても, 他臓器の損傷は認めなかった. 4. 1例の微小な縫合不全を認めたが保存的に軽快治癒した. その他では縫合不全は認めなかった. 5. いずれの症例も致死症例はなかった. 1〜5の結果を総合的に検討すると, Radiusによる腹腔鏡下胃切除後の吻合へのRadiusの導入は安全に導入可能であると判断された. また, 臨床成績は容認できると判断された.
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