研究概要 |
1. 全遺伝子型DNAチップによる網羅的遺伝子発現解析の結果から、化学療法感受性予測に有用な遺伝子を抽出し、新たな症例かおいて、検証実験を行った。RT-PCRによる発現解析において、新規食道癌サンプルにわいても70%の診断精度で化学療法の感受性を予測診断することが可能であった。さらなる症例の追加を行い、診断精度の検証を行っているところである 2. 新規食道癌21例に対して、全遺伝子型DNAチップによる網羅的遺伝子発現解析を新たに施行し、これまでの解析結果のvalidationを行っている。DNAチップによる網羅的遺伝子発現解析において、サンプリングやハイブリダイゼーションの時期や手法などかよる実験的バイアスが問題となることが多いため、まずこれまでの25例の遺伝子発現プロファイルと新規の21例の発現プロファイルのデータを解析した。食道癌と正常食道粘膜とのクラスター解析を行ったところ、正常と食道癌は明らかに異なるプロファイルを持つことが証明された。また、retroな症例とprospectiveな症例の発現プロファイルを比較検討したところ、これら2つの症例群間を分けることはできなかった。このことより実験間のバイアスは少ないものと考える、ことができ、新規21症例において化学療法感受性予測診断の精度を検証中である。 3. ここでpick upされた化学療法感受性に関わる分子を蛋白レベルでも検証した。このなかでCK(サイトケラチン)18, CK8は遺伝子発現と蛋白発現との相関が極めて高い分子であることが判明した。この2つの分子を用いた蛋白発現においても化学療法感受性予測を行うことができる可能性が示唆された。これら分子のみでは7遺伝子を用いた診断精度より劣るが、遺伝子発現どの相関の高い蛋白発現を有する分子との組み合わせによって、蛋白発現での診断も可能となり、汎用性はさらに高まる可能性がある。
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