研究概要 |
本研究は、胆道癌の抗癌剤治療として汎用されるようになっているジェシタビン(GEM)と経口5-FU剤であるTS-1の併用療法の個別化の実現に向けた某礎的研究であり、既に細胞株レベルにおいては、GEMの感受性規定であるRRM1発現とS-1感受性規定因子であるOPRT, TS発現の定量解析により、感受性を予測できることを証明している(Ohtaka et al. Oncology RePorts 2008)。 (研究成果) 平成20年度は、実際の胆道癌切除標本を用いて、RRM1およびTS, OPRT発現量を定量的免疫染色法にて解析することとした。RRM1低値であればGEMに高感受性を、TS低値、OPRT高値であれはS-1高感受性となれは我々が推測した通りの結果が期待される。 ます、胆道癌切除後、GEMあるいはS-1抗癌剤治療を受けた患者の標本を用いて、RRM1を定量的免疫組織染色法にて発現量を測定し、患者予後と比較検討したところ、予想通りRRM1低値を示す群は高値群に比し、有意に予後が延長している事がわかった(平成20年日本外科学会にて発表)。現在、同組織標本を用いて、S-1感受性マーカーであるTS-OPRT発現量を測定しているところであり、この結果と併せて論文作成を行う予定である。これら一運の基礎的根拠をもとに、今後GEM+S-1併用療法の個別化にむけた前向き試験が実践できるものと期待される。
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