研究概要 |
II. 肝硬変モデルにおけるAdSmad7とAdT β TRの治療効果の比較 体重200-250gのSprague-Dawley系雄性ラットに対しdimethylnitrosamine(DMN)(10μg/g体重)を週3回連日腹腔内投与3週間行い, 肝硬変を作成した。DMN最終投与後5日目に開腹し, 肝硬変が作成されていることを肉眼的に確認した後, 門脈本幹を剥離tapingし, (1) PBS, (2) AdLacZ(1.0×10^9pfu), (3) AdSmad7(1.0×10^9pfu), (4) AdT β TR(1.0×10^9pfu)を各群としAdenovirus vectorを門脈内投与した。投与後7日目よりDMN(10μg/g体重)を週3回連日腹腔内投与2週間行い3週目に屠殺し, 肝臓摘出及び採血を行い治療効果を検討した。DMN投与3週後の開腹所見にて全てのラットにおいて肝表面に凹凸を認め肝硬変の所見であった。肉眼所見にてPBS群, AdLacZ群では肝表面及び辺縁に高度の凹凸が認められ, 肝は著明に萎縮していた. AdT β TR群において肝表面及び辺縁に凹凸が認められるものの萎縮は軽度であった. Azan-Mallory染色による病理組織学的評価にてAdT β TR群では線維化は認めるものの線維性隔壁は薄く, PBS群, AdLacZ群に比べ線維化の程度は軽度であり, 線維化の進行が抑制されていた. 血液生化学検査においてPBS群, AdLacZ群に比べ, AdT β TR群において肝機能の有意な改善が認められた. AdSmad7の治療効果については現在データ収集を行っている.
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