研究概要 |
Neuroplin-1(Np-1)はVEGF-Aとsemaphorinのco-receptorとして働く膜蛋白である。これまでに我々はNp-1を高発現するヒト膵癌細胞PANC-1を用いantisense strategyによってNp-1の生物学的役割について検討を行い、Shamに比しNp-1 antisenseクローン(Np-1AS)ではanchorage independent growth, adhesion, invasionが減少doubling timeが延長すること、Np-1ASではshamに比しアクチノマイシンD(ActD)によるsurvivalが減少、PARP cleavage、 caspase-9活性,Annexin V染色などのpro-apoptotic actionが増加すること、ActDはNp-1ASにおいて、Bcl-xLとSTAT5を減少させるが、shamでは変化は認められないことを報告した。 今回我々はNp-1とSTAT5 pathway、 apoptosisとの関連を明らかにするため、以下の実験を行った。まずPANC-1にSTAT5siRNAを投与したところSTAT5蛋白発現は低下した。Negative controlおよびSTAT5siRNAを投与したcell lysateを用いBclxL蛋白に関してWestern Blottingにより調べたが変化は認められなかった。さらにMTT assayによりnegative controlおよびSTAT5siRNAを投与した群においてActD投与後のproliferationを検討したが、両群間で有意差は認められなかった。またNp-1低発現のヒト膵癌細胞COLO357にNp-1cDNAをstable transfectionしてクローンを作成し、sham及びNp-1高発現クローンにシスプラチン(CDDP)を投与してapoptosisを誘導した。クローンではshamに比しCDDP投与後のsurvival、 Bcl-xLレベルが増加し、PARP clevage、 caspase-3活性などのpro-apoptotic actionが減少した。以上よりPANC-1においてはSTAT5 pathwayとsurvival、 apoptosisの明らかな関連は認められなかったが、膵癌におけるNp-1を標的とした治療では化学療法でのsurvivalが減少し、さらにapoptosisがより誘導される可能性が示唆された。
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