研究概要 |
今年度は,ラパマイシンの副作用を予防する手段として,ラパマイシンの作用蛋白である,mTORをRNA interference(以下RNAi)法によって抑制する方法をin vitroで実験した。 材料および方法:細胞株はヒト肺扁平上皮癌細胞株;RERF-LC-AIを用いた。Short interference RNA(mTOR)は,Cell signaling社製とtransfection regentとしてLipofectamine TM2000を用いた。抗腫瘍効果の判定としては,増殖能とApoptosisを調べることにした。コントロール群(C群)と,RNAi群(I群)とにわけてそれぞれ評価した。増殖能の評価;6wellのculture platesに5×104cells/wellで細胞を蒔き,24時間インキュベートした後にC群にはLipofectamin2000のみ,I群にはsiRNAをtransfectonさせた。48時間インキュベートした。その後,細胞数をヘモサイトメーターを用いてカウントした。Apoptosisの評価;ELISAキットを用いてC群,I群について測定した。細胞がapoptosisに陥った後に,細胞質に出現するヒストン/DNA断片複合体の吸光度を測定することで評価した。結果:増殖能については,48時間後の細胞数は,C群(151.1±8.6×1万),I群(94.7±3×1万)であった。コントロール群と比較して,RNAi群において有意に細胞数が減少していることが確認した。(p<0.01)Apoptosisについても,吸光度はC群(1.0±0.168)に対して,I群(1.186±0.169)で,C群とI群を比較して,RNAi群が有意にApopotosisを引き起こしていることが確認できた。まとめ:肺癌治療においてラパマイシンの標的蛋白であるmTORに対してsiRNAを用いて,細胞内のmTORを抑制することで癌細胞にapoptosisを起こし,成長を阻害することをin vitroで証明できた。
|