本研究の目的は、肺癌治療において副作用の少ないラバマイシンの標的蛋白であるmTORに対してsiRNAを用いて、細胞内のmTORを抑制することで癌細胞にapotosisを起こすという仮説を証明することである。 平成19年度は、in vivoの研究を施行。具体的には、Cell Signaring社siRNA mTORを用いて、ヒト肺癌細胞株(RERF-LC-AI)にtransfbctionした細胞を用いた。その増殖能および遊走能が抑制され、Apoptosisを、引き起こすことを、すでに証明した。 平成20年度はin vivoでがん細胞のmigrationを抑制できるかどうかをまず証明した。それらをもとに、我々が以前に確立した、ラットの肺癌リンパ節転移モデルを用いたin vitroでの研究を施行した。ラットに肺癌細胞を移植し、siRNA mTORを腫瘍に局注する。7日後に腫瘍を摘出し、腫瘍の体積、重さを測定したが、両者に有意な差を認めることはできなかった。免疫組織学的にも、mTOR蛋白の抑制を認めなかった。 In vivoではsRNAを用いて、細胞内のmTORを抑制することが証明できたが、In vitroでは、siRNA mTORがうまく作用しなかった。 この原因は、生体内においては、siRNA mTORがうまくtransfectionされなかったことによるのだが、現在究明し、ほうほうについて再度検討中である。
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