研究概要 |
1.適切な細胞源 骨髄間葉系幹細胞(MSC)をTGF-betalとアスコルビン酸を用いて平滑筋細胞への分化誘導を試み、Western blot、免疫染色、FACS解析で約40%の細胞が幼弱な平滑筋細胞と同等のタンパク発現をしめした。しかし、成熟平滑筋細胞に発現するミオシン重鎖SM1/2は発現しなかった。 2.適切な培養方法 A.細胞外マトリクスの中でもラミニンがMSCの平滑筋細胞分化に有効な傾向を示した(平滑筋細胞特異的タンパクおよび遺伝子発現の確認)。そのメカニズム解明のために、インテグリンの遺伝子発現や、ERK, Aktのリン酸化といったシグナル伝達系の変化を観察したが、有意な所見は今のところ見られていない。B.MSCに生理的なメカニカルストレス(バイオリアクターを用いて拍動流進展ストレス)を付与すると、多くの平滑筋細胞特異的遺伝子(a Smooth Muscle Actin, Calponin, Caldesmon, SM22a, myocardin, SMemb)発現を亢進させた。 3.三次元再構築法 中膜平滑筋層再生のための3次元構築には、magnetic tissue engineeringの技術を用いた。細胞に磁性ナノ粒子を取り込ませ、磁力を用いて細胞を操作し、担体に細胞を層状に播種し、細胞層を持った構造物を構築した。現在、脱細胞化マトリクスの上に上述のように細胞を層状に構築し、ラット頸動脈移植モデルを用いて、in vivo実験を準備している。
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