研究概要 |
脳腫瘍幹細胞の局在を摘出標本を用いて検討した。腫瘍辺縁を含めた広範囲な摘出症例は少数であったこと,摘出標本とナビゲーションシステムとの整合性が困難等であったことより,摘出標本自体からの腫瘍幹細胞の局在に関しては結論を得ていない。現在引き続き症例を重ねる予定である。これと同時に脳腫瘍に対するdynamic-methionine-PETを施行し,これが腫瘍の鑑別や悪性度診断,脳腫瘍幹細胞の局在新段位に有用となりうるか検討した。 【方法】脳腫瘍初発111例。11C-methionine(MET)を静注5分後から10分間隔で3回計30分連続的にScan。腫瘍部にROIを設定し半定量的に最大値standard uptake value(max-SUV)を測定。また対側正常皮質のmax-SUVを測定し,その比(MET uptake ratio)を算出,比較検討を行った。 【結果】星状細胞系腫瘍ではGBMを除いて,またmixed gliomaでは経時的な集積の変化を認めなかった。一方稀突起細胞系腫瘍とGBMでは経時的に集積の低下がみられた。また髄膜腫では悪性を除いて経時的な集積低下を認めた。さらに悪性リンパ腫では経時的な集積の変化はみとめなかった。 【結論】代謝画像は脳腫瘍の悪性度診断や浸潤範囲の同定に有用であるが,dynamic-METは補助画像診断の一つとして今後有用となりうる可能性を示唆した。脳腫瘍幹細胞の局在に関しては今後画像所見との比較を重ねる。 本研究の成果は現在論文投稿中である。
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