研究課題
脳腫瘍幹細胞の局在について摘出標本を用いて検討したが、術後の脳機能を温存するため腫瘍辺縁を含めた広範囲な全摘出症例は少数となったこと、また術中の脳偏位により摘出標本とナビゲーションシステムとの整合性が困難となったことなどから、摘出標本自体からの腫瘍幹細胞の局在に関しては結論を得られなかった。次にメチオニンPET(MET-PET)とMRIにて術前に腫瘍境界などをコンピューター処理し、MET-PETの集積度と脳腫瘍幹細胞の局在について相関性があるか病理学的検討を行ったが、これについてもMET-PETの集積度と腫瘍の悪性度の相関は得られるものの腫瘍幹細胞の局在に関しては結論を得るに至らなかった。またMET-PETを用いて脳腫瘍の浸潤程度の評価を併せて施行したが、この中で特にdynamic-MET-PETについてこれが腫瘍の鑑別や悪性度診断に有用となるか検討した。その結果、星状細胞系腫瘍では、膠芽腫で統計学的に有意なMETの経時的な集積の低下がみとめられたが、退形成性星細胞腫とびまん性星細胞腫では有意となる経時的集積低下をみとめなかった。一方、乏突起細胞系腫瘍では、退形成性乏突起膠腫と乏突起膠腫のいずれも統計学的に有意なMETの経時的集積低下をみとめた。今回悪性度による差異はみられなかった。この結果から術前のdynamic-MET-PETが星状細胞系腫瘍と乏突起細胞系腫瘍の鑑別に有用となる可能性が示唆された。この研究成果は医学誌に掲載されることとなっている。
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