研究概要 |
tissue plasminogen activator (tPA)は血栓性脳動脈閉塞を再開通させ, 超急性期脳梗塞に対して使用されている. 一方で神経毒性が報告されている. スタチンは脂質の低下作用があり, 高脂血症の治療薬として用いられているが, その他にも内皮細胞保護効果などの効果がある. 血液脳関門(Blood-brain barrier ; BBB)in vitroモデルを用いてtPAの低酸素・再酸素化負荷におけるBBBに与える影響およびスタチンのBBBの効果について検討した. 2週令wistarラットおよび高血圧ラットより脳毛細血管内皮細胞を分離し, Transwellに培養することにより, BBB in vitroモデルを作成した. 低酸素キットを用いて6時間の低酸素負荷と3時間の再酸素化を行い, tPA投与群と非投与群におけるTransendothelial electrical resistance(TEER)を測定した. sodium fluoresceinおよびEvans blue albuminの透過性を測定した. 内皮細胞は敷石状となりBBBの特徴であるclaudin-5, occludin, ZO-1などのtight junction蛋白を発現していた. また, Scavenger receptorを発現し, 標識されたLDLは細胞内に取込まれた, 低酸素・再酸素化によりTEERは低下しバリア機能の破綻が示唆された. tPA投与群ではTEERは低下し, 物質透過性は亢進した. 低酸素・再酸素化負荷でTEERは低下し. 物質透過性は亢進した. さらに低酸素・再酸素化負荷にtPAを加えることでより物質の透過性は亢進した. スタチンの投与ではTEERは有意に上昇し, claudin-5が強く発現していた. tPAは脳毛細血管内内皮細胞に対して傷害性に作用し, 脳梗塞の2次性増悪に関与し, スタチンは脳毛細血管内内皮細胞にclaudin-5の発現を亢進させ, バリア機能を高めることが明らかになった.
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