研究概要 |
TRPチャンネルの発現動態を定量化する時点でのインターナルコントロールの最適なHouse keepmg geneとして選出した。TRPチャンネルのファミリーの物質のうち、イヌ遺伝子の塩基配列が既知の物質はその配列を解析に用いた。摘出した脳主幹動脈よりtotal RNAを抽出し、逆転写酵素とオリゴ(dT)プライマーを用いてcDNAを合成し、これを鋳型とし、Real-time quantitative PCRを施行し、正常血管と攣縮血管でのTRPチャンネルの発現量の違いを定量した。次にWestern blotting法により蛋白レベルでの変化の裏づけを施行した。TRPチャンネルファミリー(TRP1, 2, 3, 4, 5, 6, 7)は各々特異な組織分布を示し、特に脳内分布でも特徴が見られている。TRPファミリーは機能的にも多様性を有しており、平滑筋においてはTRP6がアゴニスト刺激による収縮のトリガーとして働くことが示唆されているが、その他にTRP1に関しては、4つ(alpha, beta, gamma, delta)のsubtypeが存在しており、その各々が独自の働きをしていることがこれまで示唆されている(dominant negative的な役割も示唆されている)。脳血管平滑筋細胞膜においての、それぞれのTRPチャンネルの発現量をRT-PCRにて定量した結果、クモ膜下出血後の、脳血管壁において特異的に発現しているTRPチャンネルを同定でき、Westem blotting法により蛋白レベルでのサブタイプの変化の裏づけを突き止めた。TRPチャンネルのそれぞれの蛍光強度を肉眼的にとらえて測定することは、平滑筋細胞レベルにおいてTRPチャンネル拮抗薬を投与することにより現在も測定を継続中である。
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