研究概要 |
ケラタン硫酸のknockoutマウス及び野生型マウスを用いて脊髄損傷モデルを作成し、下肢機能評価、電気生理学的・組織学的評価を比較検討した。[方法]8週齢の野生型マウス及びknockoutマウスの雌を用い、T10を椎弓切除後impactorを用いて圧挫モデルを作成した。1)下肢機能評価 : Grid test, Foot printを8週間施行。2)電気生理学的検討 : Motor Evoked Potential(頚椎刺激、2-8mV 100回加算)測定を8週間施行。3)組織学的検討 : 経時的に損傷脊髄を摘出し(5日、1週、2週、4週、6週)、ケラタン硫酸(5D4)、reactive astrocyte(GFAP)、typeIV collagen、GAP-43の免疫染色を行い、面積測定、細胞数カウント等を行い比較検討した。[結果]Grid test及びfoot strideにおいてknockout群の方が脊髄損傷後3週目より有意に改善を示した。MEP : 6週目におけるlatencyは有意に野生型マウス(2.84vs2.06ms)の方が延長していた。野生型マウスではreactive astrocyteがknokoutマウスに比し、受傷後1週目より損傷部周辺に有意に集簇していた(32vs20%)。4週目におけるfibrous scarの面積もknockoutマウスの方が有意に小さく(0.46vs0.67mm^2)、損傷部周辺の新生軸索もknockoutマウスに有意に多く認められた(fiber count : 7220vs2026)。[考察]ケラタン硫酸はreactive astrocyteの遊走を促進し、その結果グリア性瘢痕の形成にも影響すると考えられた。それらが新生軸索の再生阻害にもなりえる。よってケラタン硫酸の発現を抑制すれば神経再生の促進につながる可能性が示された。
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