ヒトMMP2遺伝子変異による骨溶解症(Winchester症候群)の表現系が、MT1-MMP遺伝子欠損マウスの表現形ときわめて類似することは、変異MMP2がMT1-MMPの機能を抑制する可能性を示唆する。本研究の平成20年度の計画として、変異型MMP2とMT1-MMPとの相互作用の解析を行い、変異型MMP2のトランスジェニックマウスを作成した。 はじめにHEK293細胞に、発現ベクターをトランスフェクションすることで、培養上清中にMMP2蛋白が分泌される系を確立した。この系において、ゼラチンカラムを用いて、培養上清よりMMP2を精製・濃縮し、相互作用の解析に使用することが可能となった。次いで、MMP2前駆体蛋白の特異的精製を行うべく、N末端にFlagタグを付けた発現ベクターの作成を行った。N末端Flagタグ付きMMP2が、タグ無しMMP2と同様にMT1-MMPと複合体を形成し、活性化をうけることを確認した。 ついで、N末端Flagタグ付き変異型MMP2のトランスジェニック(Tg)マウスの作成を行った。pCAGGSベクターをベースとした発現カセットを、C57B1/6マウス卵にマイクロインジェクションし、2匹のTgマウスをえた。現在、表現形の解析を行っている。 以上のような研究計画にしたがい、変異型MMP2による骨破壊機序の解明が進むことが期待される。
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