Runx2プロモーターは、エクソン1とエクソン2の上流にそれぞれ存在する。これまでRunx2の骨芽細胞と軟骨細胞での発現を制御する領域を調べるために、エクソン1の上流20kbまでのコンストラクトを導入したマウスを作成したが、いずれも再現できなかった。これは、イントロン領域に重要な転写因子の結合配列が存在することを示唆している。そこでBACクローンを用い、エクソン1上流100kb、イントロン1、エクソン2を含む約230kbゲノムDNAの下流にinternal ribosome entry site(IRES)-enhanced green fluorescence protein(EGFP)を挿入したコンストラクトを構築した。このDNAをマウス受精卵に注入、トランスジェニックマウスを作製した。4週齢で尾の先端を採取し、皮膚および皮下組織を除いて、蛍光実体顕微鏡にてEGFPを観察した。尾椎にEGFFPの強い発現の観察された、3匹のFOマウスを選択、系統を樹立した。これら3系統のマウスで、胎生16.5日で凍結切片を作製、蛍光顕微鏡で観察するとともに、抗EGFP抗体を用いた免疫組織染色を行った。3系統ともに、同じ発現パターンを示し、骨芽細胞、軟骨細胞に発現を認めた。これは、in situ hybridizationおよび抗Runx2抗体を用いた免疫組織染色で得られたRunx2の発現パターンと完全に一致した。したがって、用いた230kbには、Runx2の転写調節領域が全て含まれていると考えられ、今後Runx2の転写調節機構を解明するうえで、貴重なマウスとなる。
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