Runx 2プロモーターは、エクソン1とエクソン2の上流にそれぞれ存在する。これまでRunx 2の骨芽細胞と軟骨細胞での発現を制御する領域を調べるために、エクソン1の上流20kbまでのコンストラクトを導入したマウスを作成したが、いずれも再現できなかった。これは、イントロン領域に重要な転写因子の結合配列が存在することを示唆している。そこでBACクローンを用い、エクソン1上流100kb、イントロン1、エクソン2を含む約230kbゲノムDNAの下流にinternal ribosome entry site(IRES)-enhanced green fluorescence protein(EGFP)を挿入したコンストラクトにより、トランスジェニックマウスを作製した。抗EGFP抗体を用いた免疫組織染色は、in situ hybridizationおよび抗Runx 2抗体を用いた免疫組織染色で得られたRunx 2の発現パターンと完全に一致した。さらにゲノムを約40kbずつ欠失させた6コンストラクトを作製し、それぞれトランスジェニックマウスを作製した。抗EGFP抗体を用いた免疫組織染色により、骨芽細胞にのみ発現を認めるトランスジェニックマウスおよび軟骨細胞にのみ発現を認めるトランスジェニックマウスをそれぞれ特定することができた。したがって、それぞれの欠失領域に、軟骨細胞特異的および骨芽細胞特異的エンハンサーが存在すると考えられる。今後これらの領域をさらに限定し、Runx 2の軟骨細胞および骨芽細胞における発現を規定する転写因子を特定する。
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