研究目的 転写因子Runx2は、軟骨細胞の成熟を強力に促進することが知られている。Runx2ノックアウトマウの軟骨細胞にアデノウィルスを用いてRunx2を導入し、マイクロアレイ法によってRunx2の下流遺伝子を検索した結果、ムチン型糖鎖を形成するポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素3(Galnt3酵素)をコードするGalnt3遺伝子が同定された。 そこで本研究ではGalnt3遺伝子欠損(-/-)マウスの作成/解析を通し、GALNTの生理的機能を明らかにすることを本研究の目的とした。 研究成果 1-Galnt3遺伝子欠損-/-マウスの作成 我々は胚茎(ES)細胞上で遺伝子相同組み替え技術を用いてGalnt3遺伝子を崩壊させた。具体的にGalnt3エクソン2(翻訳開始点を含むエクソン)をPGKプロモーターネオマイシン選択・IRES-1acZ遺伝子配列カセットと置き換えた。遺伝子組み換えを持つES細胞は、C57BL/6胚盤胞に注射しキメラマウスを得た。次にキメラマウスから得られるGalnt3ヘテロ変異型マウス(+/-)同士を交配したことにより、ホモ変異型マウスを得た。サザンプロットにより11kbの野生型対立遺伝子及び7kbの変異型対立遺伝子を確認した。Galnt3はマウスが通常に生まれるが、高リン酸血症を示した。 2-Galnt3遺伝子の発現 IRES-1acZ遺伝子を組み替えたことにより、ベタガラクトシダーセの活性をもとにGalnt3の発現パターンを調べた。Galnt3は腎臓/精巣器に発現を認めた。また胎生期では12.5日以降の軟骨細胞に発現することがわかった。 2008年研究計画 Galnt3遺伝子欠損(-/-)マウスの一般的解析を行う 骨格組織の発育・代謝におけるGalnt3の機能を明らかにする。
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