研究概要 |
BMPによる骨形成作用の動物種間で大きく異なることを背景として同様の事象をin vitroで確認すべく、ラット及びイヌの大腿骨より骨髄間葉系細胞を採取し様々な濃度のBMPを添加してアルカリフォスファターゼ(ALP)活性を測定した。いずれの細胞に関しても培養条件及び初回の細胞濃度を一定とし、継代回数が3回までの細胞を用いて実験を行った。BMPを添加していない状態でもラット骨髄間葉系細胞におけるALP活性はイヌ骨髄間葉系細胞の約10倍異なることが判明した。またBMPを500ng/ml添加して培養した場合、コントロール(BMP 0ng/ml)と比較してイヌでは培養後6日目で1.1倍、12日目で1.3倍しかALP活性が上昇しないのに対して、ラットでは培養後6日目で1。9倍、12日目で2。4倍と両者で大きな差が認められた。コラーゲンを使用したBMPによる異所性骨形成モデルではイヌでの骨形成に必要なBMP量はラットの約20倍であり、これらのALP活性の差によってin vitroで再現し得たと考えられた。次に同様の培養条件でそれぞれの細胞からRNAを採取し、ラット及びイヌの遺伝子の共通部分からprimerを作成してBMP2, 4, BMP receptor IA, NogginのPCRを行った。BMP2、BMP receptor IA, Nogginでは両者の発現変動に明らかな差を認めなかったが、ラットではBMPを添加していない状態でもBMP4の発現が認められるのに対して、イヌではBMP4の発現が認められなかった。この発現の差がベースラインでのALP活性の差に寄与している可能性が考えられた。さらにBMPに対する反応性やベースラインでの差を説明する因子としてcAMPの関与があるのではないかと考え、現在検討中である。
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