研究課題
4週齢および160週齢の家兎を使用し、経年的組織学的変化の半定量的評価を行った。細胞分化、粘液変性、クレフト形成、顆粒状変化の有無について検討を行ったところ、4週令の椎間板組織は人間と比較して細胞分化(0-1ヵ月)、粘液変性(胎児)、クレフト形成(1ヵ月から2歳)、顆粒状変化(0-1ヵ月)に相当した。一方160週令の家兎は、細胞分化(11-20歳)、粘液変性(11-16歳)、クレフト形成(21-30歳)、顆粒状変化(11-16歳)に相当すると結論つけた。また脊索細胞の有無、比率を検討したところ4週令のウサギでは7検体中全例で脊索細胞を認めたのに対して、160週令では7検体中4検体で脊索細胞が認められたが、その割合は減少し、髄核における脊索細胞の比率は66%であった。昨年までのTIMP3ADAMTS4, TGF結果を併せて考えると、家兎椎間板組織においても加齢によりヒトとほぼ同様な組織学的変化が生じ、160週齢の家兎椎間板組織には脊索細胞が残存するものの、その数は著明に減少し、脊索性髄核から線維軟骨性髄核への移行時期と考えられた。脊索性髄核にけるTIMP-3の発現は160週齢において4週齢と比較して有意に少なく、その-因としてTGF-β1の発現低下が考えられた。脊索性髄核から線維軟骨性髄核の移行期には、ADAMTS4の発現上昇が生じる以前にTGF-β1の低下に伴うTIMP-3の減少が生じ、ADAMTS4/TIMP-3比の不均衡が生じる可能性がある。したがって脊索性髄核はTGF-β1とTIMP-3を発現することによって椎間板の恒常性維持に寄与している可能性が示唆された。
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