研究概要 |
FOPは200万人に1人の割合で見つかる稀な疾患であり、筋肉や腱、靭帯、関節等が骨化する常染色体優性の遺伝病である。非根治治療ですら極めて困難であるため、FOP発症の分子生物学的機構を詳細に調べることが治療につながる唯一の方法である。 本年度は比較ゲノム解析の手法により、ヒト、メダカを含む10種類の生物で原因遺伝子であるACVR1/ALK2についてゲノム解析を行い、エキソン・イントロン構造の解析、およびプロモーター領域の推定を行った。さらに、同定したメダカACVR1オルソログ(01Acvr1)のノックダウン解析では発生初期に致死となることが確認できた。 さらに、ヒトACVR1(HsACR1)およびひ01Acvr1のトランスジェニックメダカ(Tgメダカ)の作製を試みた。プロモーターとしてCMVまたはベーダアクチン(ActB)を選択し、HsACVR1、01Acvr1がGFPとの融合タンパク質として発現するベクター計4種類を構築した。 CMVプロモーターを用いた場合ではHsACrR1,ひ01Acrrlともに嚢胚期で致死となった。一方、ActBプロモーターを用いてHsACVR1を発現させたTgメダカは孵化まで至ったが、成魚を得ることができなかった。そこで、CMV-01acvr1-GFP発現ベクターを直接稚魚の筋肉にインジェクションすることで限局的に融合タンパク質を発現する個体を得た。 RT-PCRにより01Acvr1の発現が確認できたので、現在Tgメダカ表現型を検討している。
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