研究概要 |
ペントバルビタールで麻酔した日本白色ウサギに頭窓を作成した。ネックターニケットを装着し,二酸化炭素応答とアセチルコリンに対する脳軟膜動脈血管の反応を,生体顕微鏡を用いて直接観察できるように設定した。これはネックターニケットにより,体表から700mHの圧を加えることにより,一過性に全脳虚血を作り出すことができる方法である。また脳動脈を直接結紮する方法と比べて,簡便かつ低侵襲であるので,生体に大きな負担が加わらないため,より臨床現場にそくした動物モデルと考えられる。さらに頭窓法により,脳軟膜静動脈を直接観察できるため,虚血状態の定量評価もよういである。本研究では,生体顕微鏡可の観察により一過性全脳完全虚血に維持されていることを確認した。6分間の一過性全脳完全虚血により,ターニケット前で認められていた二酸化炭素応答は完全に消失した。まず,常温におけるリドカインを脳虚血前後に脳槽内に注入し,脳軟膜情動静脈の血管応答を観察した。二酸化炭素応答は100マイクロm以上と未満の血管が,1.2±0.6mcm/mmHg,1.7±0.9mcm/mmHgが,0.3±0.5,0.4±0.5mcm/mmHgとなった。リドカインでは,10-3Mから-6Mの濃度で投与したが,いずれも投与前,投与後とも脳軟膜静動脈を拡張させた。また拡張した程度は虚血前と同程度であった。アセチルコリンは実験終了後に,脳血管内皮と神経細胞の障害の程度を確認するために用いた。
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