研究概要 |
炎症は、気道内のMUC2やMUC5ACを増加させることが判明しているが、mucinの発現が異常体温(高熱もしくは低体温)によりどのような影響を受けるかはわかっていない。そこで、体温を高体温、平熱、低体温という3群に設定し、体温の変化が気道内におけるMUC2、MUC5AC遺伝子活性に与える影響を明らかにすることを目的とし実験を行っている。 具体的な方法としては、雄性のSDラットを使用。セボフルランで迷妄麻酔後、腹腔内にペントバルビタールを投与し麻酔を導入。気管切開施行。麻酔の維持と血液のサンプリングに24G静脈留置針の外筒を、右外頸静脈と左大腿動脈にそれぞれ挿入。麻酔(鎮静)の維持はミダゾラムを持続投与して行う。Pressure control ventilatorで、補助調節呼吸(最高気道内圧15cmH_2O)を行い、低体温:34℃、平熱:38℃、高体温:42℃の3群に分ける。時間設定は0,2,4,8,16時間とし、それぞれの時間に数匹ずつ儀死させ、気管から気管支にかけての組織を摘出する。同時に血液も採取し、摘出した組織とともに、以下の実験に用いる。また、肺のコンプライアンスを儀死直前に測定する。 1)気管及び気管支…HE組織による組織学的検討、MUC2、MUC5ACに対する免疫組織化学、MUC2、MUC5AC蛋白に対するWestern blotting、MUC2、MUC5AC mRNAに対するRT-PCR、ELISA法を用いた気管及び気管支中のTNF-α,IL-1β等のサイトカインの測定 2)血液…血液ガス分析 3)肺のコンプライアンス…気道内圧に対して流入したガスの容量を記録。上記の実験をまず、低体温群と平熱群で進行中であり、方法、条件(体温設定、呼吸器設定)など試行錯誤、予備実験等を繰り返し、検討を進めているところである。
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