炎症は、気道内のMUC2やNUC5ACを増加させることが判明しているが、mucinの発現が異常体温(高熱もしくは低体温)によりどのような影響を受けるかはわかっていない。そこで、体温を高体温、平熱、低体温という3群に設定し、体温の変化が気道内におけるMUC2、MUC5AC遺伝子活性に与える影響を明らかにすることを目的とし研究を行っている。 現在までの研究の成果については、まず炎症と体温の関係を明らかにするために研究を行ってきた。温熱ストレスなどで誘導される熱ショック蛋白質70(HSP70)は侵襲に対する細胞、臓器保護効果のあることが知られている。一方、HMGB1(High Mobility Group Box 1)は敗血症の致死性に関与する新たなメディエータとして注目されている。そこでWistar系雄性ラットを用い、エンドトキシンを静注することでエンドトキシンショックモデルを作成し、HMGB1の発現と温熱処理によりHSP72を誘導した場合の保護効果との関連性について検討した。結果は、温熱ストレス(42℃15分間)を加えることにより、HSPが誘導され、エンドトキシンショックモデルの生存率は改善し、サイトカイン、HMGB1を有意に抑制し、肺炎症所見も改善することが判明した。その機序としてはHSP70の誘導により、HMGB1の上昇が抑制されたことが関与していると考えられた(発表済)。 今後さらに、体温と炎症、mucin発現との関係について研究を進めていく。
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