脊髄くも膜下麻酔に用いる高比重液と等比重液では、作用発現に違いがあることが報告されている。その比重の調節にはグルコースが用いられている。そこで水棲カタツムリの神経細胞を用いて、脊髄くも膜下麻酔に用いるグルコースの局所麻酔増強作用と細胞内pHの関係を研究した。作用発現の違いの機序を明らかにするため、グルコースの添加が細胞内pHとNa電流に及ぼす影響を調べた。その結果、細胞内pHはグルコース濃度依存性に低下し、2分後の細胞内ΔpHはリドカイン単独群に比べ3%グルコース群が有意に低かった。またNa電流もグルコース濃度依存性に抑制され、リドカイン単独群と他の群間で有意差がみられた。このことから、高比重液では、グルコースが細胞内pHを低下させることで麻酔作用を増強していると考えられた。
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