研究概要 |
古くからマリファナには痛みを和らげる効果があり、不安の軽減や気分の高揚、嘔吐の抑制と食欲増進といった作用があることが知られていた。不安、食欲、吐き気の調節にはCB1受容体が関与していると考えられているが、疼痛に関わるメカニズムについては未だ解明されていない。CB1受容体は侵害情報が入力される脊髄後角に多く存在するためCB1受容体を介した脊髄鎮痛が得られる可能性がある。 現在、諸外国においてはがん患者の嘔吐抑制・食欲増進目的にマリファナが使用されつつある。一方、癌に用いられるさまざまな抗癌剤はしばしば末梢神経障害を用いることが知られている。CB1作動薬により末梢神経障害による痛みの緩和が得られれば癌治療においてCB1作動薬の有用性が証明される。そこで抗癌剤(paclitaxel)による神経障害モデルラットを作成し、in vivoパッチクランプによるEPSCの記録を試みた。 生後6週のラットにPaclitaxel 2mg/kgを隔日に4回投与したところ、投与終了後1週間後・3週間後にvehicle群と比較しmechanical allodynia, cold allodyniaが認められ抗癌剤による末梢神経障害モデルラットが得られた。次にウレタン腹腔内投与による全身麻酔下に生後6週となる末梢神経障害モデルラットおよびvehicle群のラットを椎弓切除し、脊髄を露出、パッチクランプを行いEPSCを記録した。末梢神経障害モデルラットではvehicle群と比較し自発EPSCの増加が認められた。今後脊髄灌流液にCB1作動薬を投与することによりEPSCの変化を計測していく
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