脳浮腫治療薬を投与したラットにおいて、新しい水分測定法により脳水分を測定し、脳浮腫治療薬が実際に脳の水分軽減効果を発揮しているかを検討した。新しく確立した測定法を用いてラットに脳浮腫治療薬(マンニトール、高張食塩液)の持続投与を行い、脳の水分が時間依存的に効果的に軽減していくことを確認できた。その水分は文献的に脳の正常な水分含有量とされる80%から時間依存的に低下したことを確認した。等張溶液では脳水分減少は確認できず、時間経過を追っても脳水分は80%前後で、新しい脳水分測定法の精度に関して、再現性もあり誤差の少ない測定法であることを示すことができた。さらに高張液の中でもその効果の程度に薬剤問の差異が確認でき、マンニトールがもっとも効果的であった。さらに脳アストロサイトに主に発現している水チャネルアクアポリン4の発現が脳水分の変化に関与しているか検討するため、脳浮腫治療薬を投与したラット脳での蛋白発現をウエスタンブロット法で確認し、水チャネルの発現と脳浮腫治療薬による脳水分変化との関連を新しい水分測定法を用いて確認することができた。一方、障害を与えた脳では障害部位に脳浮腫が生じるが、今回ラット脳に凍結損傷を加え、その局所水分も新しい測定法で検討してみたが、局所的には90%近くにまで脳の水分が増加していることが判明した。
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