研究概要 |
帯状疱疹後神経痛モデルマウスを用いた実験は感染実験となり、実験室使用などの制約が生じるため、まず神経因性疼痛の代表的な坐骨神経結紮モデルラットを用いて脳内モノアミン動態を解析することとした。8,9週齢Sprague-Dawley系雄ラットを用い、セボフルレンによる全身麻酔下に一側下肢の坐骨神経を剖出し、5-0絹糸で2回結紮することで坐骨神経結紮モデルラットを作成した。約2週間後機械的アロディニアが発現した坐骨神経結紮モデルラットに対し、ペントバルビタールによる全身麻酔下で動物を定位脳固定装置に固定し、bregmaの後方2.3mm外側3.5mmにバーホールを作成した。7mmの深さの腹後側核(ventroposterior lateral nucleus:VPL)にマイクロダイアライシスプローブ(Eicom,AU-1-7-01)を留置し、シリンジポンプ(ESP-64,Eicom)を用いて、マイクロダイアライシスプローブを人工脳脊髄液で灌流(2μl/min)する。プローブを通して得られた灌流液を、フラクションコレクターを用いて収集、冷却貯留し10%アセトニトリルを含む75mM燐酸緩衝液(pH3.0)を移動相とする高速液体クロマトグラフ(high performance liquid chromatography:HPLC)に注入した。作用電極に純黒鉛、参照電極に塩化銀を装着した電気化学検出装置(HTEC-500,Eicom)を用い、550mVの荷電時に得られたピーク面積から外部標準直線を用いてドパミン、ノルアドレナリン、セロトニン濃度の定量を行った。 しかし、これらの脳内モノアミン濃度の測定値のばらつきが大きく難渋している状態である。マイクロダイアライシスプローブの灌流液や移動相に工夫をすることで、脳内モノアミン濃度を正確に測定するよう努力を継続する予定である。
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