国際ヒトゲノムプロジェクトが完了し、近年ではその応用として、SNPs (Single Nucleotide polymorphisms)のデータが蓄積されてきている。一方、Propofolは現在、頻用されている静脈麻酔薬であり、そのcontext half timeが短いという特性から、3コンパートメントモデルを用いて血中濃度を予測し、持続投与を行っている薬剤である。Propofolは主にグルクロン酸抱合により代謝され、その代謝にはUDP-Glucuronosyltransferase 1A9 (UGT1A9)が関与している。In vitroにおいて、ヒト肝ミクロソーム分画から得たUGT1A9の発現量、および、UGT1A9によるPropofolを基質とした代謝活性が、UGT1A9遺伝子の転写調節領域のいくつかのSNPsに応じて、野生型と比べて増加することが示されている。今回、我々は、UGT1A9遺伝子のSNPsが、in vivoにおいても、Propofolの代謝に影響をおよぼし、ヒト血中Propofol濃度の予測因子となるという仮説をたてた。本研究により、UGT1A9遺伝子のSNPsと、血中Propofol濃度との関連性を明らかにすることを目的とし、以下の研究を行った。和歌山県立医科大学倫理委員会の承認のもとで、UGT1A9遺伝子の4カ所のSNPsについて、日本人におけるallele頻度を検討するために50人のボランティアから血液を採取し、DNAを調製した。調製したDNAサンプルよりmelting curve法にもとづき遺伝子多型のタイピングを行った。 結果として50人のサンプルすべてが野生型であった。
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