研究概要 |
ウサギ肝臓虚血再度流障害モデルにおいて、持続ANP投与(0.1mcg/kg/min)群は、対照群に比して、再潅流3時間後のAST,ALT上昇が軽度であった(183IU vs 82IU p<0.05)。また、再度流後の組織血流量の低下が軽減された(22.4ml/100g/min vs 39.0/100g/min p<0.05)。In vitroにおいて、ANPは肝細胞のアポトーシスを減少させるとの報がある。そこで、我々のin vivoモデルにおけるアポトーシスの関与について検討した。具体的には、再度流後に摘出組織標本を作製し、TUNEL染色によりアポトーシス細胞数を計数した。HE染色による組織学的検討ではANP投与群での組織障害軽減が認められた一方、TUNEL陽性細胞数は両群間に有意な差は見られなかった。再度流3時間の本モデルにおいては、ANPの作用機序として、肝実質細胞のアポトーシス軽減が有意な機序ではない可能性が高い。 続いて、ANPの肝非実質細胞へ与える影響について検討した。本モデルにおいては組織血流の変化が認められている。そこで、微小肝血流の調節に与る星細胞を対象として検討した。具体的には、星細胞で特異的に産生されるとされるADAMTS13に着目し、再潅流時の経時的変化を測定した。静脈血中のADAMTS13は再潅流に伴い、対照群において低下(79.6%)したが、ANP投与群では変化しなかった(95.8%)。ANPが再潅流時のADAMTS13の動態に影響を与えていることが確認された。
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