研究概要 |
ラット腎・肝において、虚血/再灌流(I/R)障害により糸球体内皮、尿細管周囲の血管内皮、肝類洞内皮でB7分子(CD80, CD86)やICAM-1といった、免疫関連抗原分子の発現が亢進する(Satoh, et al. Lab Invest 2002, Kojima, et al. Hepatology 2001)ことや、抗酸化剤のResveratrol投与により、ラット腎の1/R障害を軽減し、CD86の発現亢進が蛋白レベル・mRNAレベルで抑制される(Saito et al. Arch Histol Cytol 2005)ことを報告してきた。I/R障害に伴う免疫関連抗原分子の発現亢進を抑制することは、臓器障害の軽減や拒絶反応抑制に繋がる可能性がある。ラット腎I/R障害モデルを作成し、I/R後、メシル酸ナファモスタット(MN)投与による腎機能や炎症性サイトカイン、特にIL-18の発現亢進に対する影響に着目し研究を進めている。I/R後は糸球体内皮、尿細管周囲の血管内皮などに炎症性サイトカインの発現が亢進していることが予想され、免疫染色でその局在性の確認や、Real time RT-PCRによるmRNAの定量評価などを行っている。高発現すると予想されるIL-18が、I/R障害後どこに局在し、MN投与で発現がどのように変化するのか、また、腎機能障害を軽減できるかどうか等について、今後も検討を続けていく予定である。
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