研究概要 |
哺乳類の精子形成は, 複雑で様々な環境因子に影響を受ける. 治療目的で投与された抗癌剤などにより一旦, 障害を受けた精巣は, 数ヶ月〜数年に及ぶ時間をかけて, 失われた精子形成を回復しようとする. これらの回復機序について, これまで系統的な研究は限られたものであった. 近年, 精祖幹細胞の増殖に関するin vitroおよびin vivo研究成果の蓄積から, 精子形成回復に有用と考えられる種々の候補因子が同定された. それら候補因子の精細管内注入による動物実験を用いて, 精子形成回復への影響を検証するという研究である. 効率よく目的タンパクを同定するために抗癌剤治療後ヒト精巣組織とコントロールのプロテオーム解析を施行した. 有望ないくつかのタンパクが差分解析により同定された. 今後, さらにこれらのタンパクを選別し, さらなる精密検査・精子形成回復に与える影響などについて解析をすすめる次のプロジェクトへ移行するデータを取得できた.
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