研究課題
まず正常の分化の過程を理解するために3次元培養と2次元培養間でマイクロアレイを施行し、腺構造形成に特に重要な細胞極性に関与する遺伝子群を選別することに成功した(1st selection)。これらの遺伝子をさらにIn silico pathway解析を行なった結果、このような遺伝子は癌においては異常発現を示し、実際これらの遺伝子群の上流で活性化されているEGFを欠乏させることにより、腺構造は崩壊し、癌細胞が3次元培養で示すスフェロイドのような形態に変化した。また上流で発現が抑制されいるTGFβを過剰に投与すると。腺構造の発育が抑制されることがわかった。EGFRの異常発現はホルモン耐性癌などで言われており、TGFβシグナルの活性低下も癌においては頻繁に見られる。このように正常の腺構造に必要な情報を認識することは正常から癌への移行への過程を認識することにもつながり、今までに行われている手法である正常と癌の単純比較の研究では癌のinitiationを認識するマーカーを選別することは非常に困難ではないかと考えられた。我々は1st selectionで得られたマーカーを臨床検体で検証することでより早期の癌、すなわち化学予防で治療可能な癌を選別できるマーカーを探索することを試みた(2nd selection)。前立腺癌はより腺構造の保たれた高分化癌と腺構造の崩壊した低分化癌に大別できる。米国 Department of Defense Center for Prostate Disease Research(CPDR)との共同研究において、1st selection マーカーを同一人物より得られた正常前立腺と高分化癌、もしくは低分化癌のmicro dissection サンプルを用いた40 setのアレイデータにいて照合をおこなったところ、高分化癌特異的な発現を示す遺伝子があることがわかった。その遺伝子に関しては現在さらなる解析を進めている。
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Prosate 1; 67
ページ: 1601-1613